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建築家シリーズ第3回は、株式会社エーアンドエーセントラル代表であり、NPO梅ヶ丘アートセンターフェローシップ代表でもある丸谷博男氏にご登場いただきました。丸谷氏は環境共生型の住まいづくりのため自然エネルギーの利用に積極的に取り組む他、住まい手のコミュニティ作りの大切さを強く訴えておられます。
NPO梅ヶ丘アートセンターフェローシップ 代表 東京芸術大学美術学部建築科 非常勤講師 千葉大学工学部 非常勤講師 クラフトセンタージャパン 評議委員 日本クラフトデザイン協会 会員 丸谷 博男 氏 ■略歴 1948年 山梨県にて生まれる 人生の大半は東京 1972年 東京芸術大学美術学部建築科 卒業 1974年 東京芸術大学美術学部建築科大学院 修了 1988年12月 一級建築士事務所(株)エーアンドエーセントラル 設立 1992年12月 梅ヶ丘アートセンターを開設 その後NPO梅ヶ丘アートセンターフェローシップとして運営する 2004年より 福岡市内の住宅地がマンション化され街並みと、コミュニティが破壊されていることに対し警鐘を投げかけ、向こう三軒両隣のコミュニティづくりを提唱する。「繋がるデザイン」の提唱。 ■主な著書・監修等 「家づくり成功読本」「家づくり100の知恵」「住まいのアイデアスケッチ集」、「設備から考える住宅の設計」、「実践木造住宅のディテール」(彰国社)、「男と女の建築家が語る家づくりの話」(工業調査会) ほか多数 ■その他 趣味は「旅」。 その土地の風土とそこに暮らす人間が大好きです。 形だけのモダンは感心しません、人間と地球の物語を伝え続けることが大切です。 ■丸谷氏と本当に省エネルギーな住まい 僕が主に取り組んでいることには、二つの流れがあると思います。その一つ目は住まいとその周りとの環境、地面の部分や植栽まで考慮し、本当に省エネルギーになる住まいをつくることです。具体的なお話としてはOMソーラー、空気集熱の家があります。 これは私の両親や私自身を実験台にして設計しました。設計を始めた当時は周囲から「熱容量の小さい空気を熱輸送に利用するなんて、何て効率の悪いことをやっているのだ」などと異端児扱いされたものです。でも私は自然の力を活かして熱を利用するこの方式がとても気に入っています。ごく最近になって、実際につくったこの家を売りに出したのですが、大学の先生など自然と共生する住まいの良さをわかってくれる方が結構いらっしゃって、とても驚くと共に大変うれしく思っています。 ■省エネルギーな住まいを考える上で大事なこととは? 僕が住まいに関して環境面で一番大事なことだと思うのは、やっぱり地域性を大切にすることだと思います。この地域性というのは、住宅が存在するそこの気候風土、文化、周りの景観、あるいは土も、水も、緑も、そういうところから全部つながった結果として生まれているものです。 日本は北海道から沖縄まで、すごく多彩な気候風土があります。でも今の日本の住まいは売る側の論理が先んじて、日本全国で同じ様なモデルハウスが作られて売られているという、まったく地域性ある環境とは無関係の状況になっているわけですね。 でもよくよく考えるとそのような住宅はほんの100年くらいの歴史しかなくて、それ以前の何千年っていう歴史はまさに気候風土にウソをつけない時代であったはずです。ですからまさにその時代が一番LOHASだったわけです。無駄なものができないし、環境にウソをつけない。そこのところがとても私は大事だと思います。 ■もともと存在したLOHASな暮らしに学ぶ 今の日本は高気密、高断熱の住宅こそが省エネという流れになりつつありますけれど、私は建材を沢山使用してつくる家というのは完全なLOHASな住まいにはならないと思います。北海道のアイヌの人々は-10℃、-20℃という環境下でも地熱を利用することにより、焚き火やおき火だけで冬を乗り越えていました。縄文人だって竪穴式の住居で1万年も暮らしていたわけです。 原始的とはいえ、そういう人達こそが本当に気候風土をつかんで生きてくることができた。考えてみてください。私たちは彼らの子孫として今を生きているのです。気候風土、地域性をきちんと読める科学力というか、洞察力というか、あるいはそこで暮らしをつくる力というものを先人から学ぶべきではないでしょうか。 ■もう一つの取り組み、コミュニティづくり もう一つ私が取り組んでいるのは、コミュニティづくりというか、コミュニティが自然と醸成されていくような街づくりです。向こう三軒両隣プロジェクト、なんていう活動もやっています。 一言でコミュニティと言っても戸建住宅が集まっている地域でのコミュニティがあれば、戸建住宅と集合住宅が混在した地域もあるし、集合住宅の中だけのコミュニティもある。ただしどの条件にも共通して言える特徴は、新しくできた分譲地やマンションでは皆で維持管理する共有物としてのデザインとか、仕掛けとか、そういうのがあまりない。たとえ共有物が存在しても、容積緩和のために小さなポケットパークのような場所を名前だけ共有していたりします。 私は良好なコミュニティを醸成するために必要なのは、形だけの広場や共有物をつくることではないと思います。メンテナンスも含めた共有物を持ち、それらを皆で維持管理していくというプロセスの中に一番大事なことがあるはずです。 ■コミュニティとサスティナビリティ コミュニティが機能して、人々が永く住み続ければそれはサスティナビリティな暮らしにつながります。つまり良好なコミュニティの存在が環境に良い暮らし、LOHASな暮らしをつくるのです。その観点からすると、まあちょっと難しいのですが、人間が一つの土地で生まれて、その土地で育っていくって言うことが一番サスティナビリティを生んでいく背景になると思います。 人の流動が激しいところというのは、絶対にコミュニティが育ちません。皆他人同士で、お互い何年そこにいるのかわからない人達が常に入れ替わりながら暮らしている場所でコミュニティを作れるか、って言われて、あなたは本当に出来ると思いますか? またこのような状況に対して小手先だけの空間やデザインではいくら提案してもコミュニティ醸成に寄与しません。この点を知り、うまくコントロールして、コミュニティが醸成されていく仕組みづくりをすることが重要なのです。 ■地球と共生するために 住まいの省エネも、コミュニティも、とにかく地域性を理解して、それを考慮することが大切です。もう一つ付け加えるのならば、サスティナブルな暮らしのためには「誰もが快適な暮らし」を目指す必要はありません。住まいの中の環境も、年間平均気温である15℃を基準に考え、この熱を利用していけばそれで充分なのです。もっともこの熱を利用するためには住まいの熱負荷、熱の移動量、移動速度などもっともっと研究することが沢山あると思います。 古代の人間の知恵による住まいは地球との共生を実現できていました。逆に言えば現代住宅だけですよね、理にかなっていないのは。 ですから私は本当に地球環境を考え、この問題に対する活動をこれからも続けて行きたいと思っています。 ![]() ![]() ![]()
毎年、二十歳の学生と24年お付き合いしてきました。
私にとっては、大変刺激的な機会をいただいていました。 とにかく、毎年二十歳の人たちと向き合えるのですから最高の時間でした。 感謝にたえません。今年からは、芸大の「素材と造形論」の授業だけになります。 その分、「いい家づくり学習所」「j-sense土曜建築学校」を毎月、札幌、東京、福岡で開催しています。
丸谷博男 hiroo maruya
■1級建築士事務所(株)エーアンドエーセントラル( Arts and Architecture) 代表 NPO梅ヶ丘アートセンターフェローシップ代表 (財)クラフトセンタージャパン理事/日本クラフトデザイン協会会員 NPO法人グリーンマップジャパン理事 東京芸術大学非常勤講師(素材と造形論) ○一級建築士事務所㈱エーアンドエーセントラル本社・梅ヶ丘アートセンター 〒155-0033東京都世田谷区代田3-48-5 tel03-5431-6030 fax03-5431-6031 ○j-sense福岡 〒810-0027福岡市中央区御所ヶ谷95-1チャペルサイドアパート48 J-sense内 tel092-534-1377 fax092-534-1388 ○j-sense札幌 〒065-0013 札幌市東区北13条東1丁目1-10 tel011-826-5080 fax011-826-5081 丸谷博男のブログhttp://maruya.exblog.jp/ j-senseのブログhttp://jsense.exblog.jp/ artcenterのブログhttp://artcenter.exblog.jp/ e-mail h.maruya@a-and-a.net ■1948年9月山梨県に生まれる。両親は樺太生まれ。本籍は石川県羽咋郡。 東京芸術大学美術学部建築科・大学院卒業 芸大奥村研究室、藤木研究室にて建築設計・家具デザイン、エアコンディションニング術を学ぶ。また、環境共生、太陽熱の利用などに取り組み続け、常に先進的なプロジェクトに取り組む。 東京芸術大学・千葉大学非常勤講師として設計術、素材と造形論を伝える。 ものづくりの広場・ギャラリーを運営する「NPO梅ヶ丘アートセンターフェローシップ」代表を勤め、全国の産地や工芸家とのネットッワークをもつ。 九州においては、医療福祉施設・環境共生住宅づくりに取り組む。最近はコミュニティの大切さを説きさまざまなプロジェクトを提案している。関東においては高齢者施設(グループホーム+デイケアセンター)に取り組んでいる。 北海道においては、「北のデザイン」を提唱し、美しい街並み形成に向かってbasic designを共有化しようと活動している。 松下電工のHome archiシリーズは、コンサルタントとして松下電工と約10年以上取り組んで来たもの。灯りの原点、主張しない照明器具を提案し続けている。 □東京都世田谷区と福岡県福岡市、北海道札幌市にアトリエをもち日本の環境を捉えながら設計活動を展開している。 □著書/「家づくりを成功させる本」「アイデアスケッチ集」「設備から考える住宅の設計」「実践木造住宅のディテール」「家づくり100の心得」彰国社刊、「男と女の建築家が語る家づくりの話」工業調査会刊ほか □代表作品/「大泉学園の家Ⅰ」「環境共生住宅ひまわりの家」「宮城野山荘」「吉井町の家」「永福町の家」「照り葉の家」「ケミレスタウンproject」ほか ■ロハスインタヴュー http://www.makelohas.com/lohas_interview/13_01.php
■住宅とは?
住まいは人の形、人生の形、そして住み方の形である。住まいをデザインするということは、人の生活を思い浮かべることであり、その生活の具体的な場面を実現することである。 現在、ものづくりとまちづくりと施設づくりを通じて、人間の元気づくりと本物づくりを、4人のスタッフと職人達や産地の人々とともに進めている。とくに最近では、土壁、漆喰壁、和紙、染色などを再評価し、現代的な表現に取り組んでいる。設計の原点は「住宅」であると、自負している。 ■趣味や好物は? 大好きなのは、「旅」。写真を撮るのも好き、スケッチも好き、音楽を聴くのも好き、嫌いなモノがないというのが特徴かもしれません。昔はよく山に行っていました。大きな自然が大好きです。 ■これまでに設計した住宅は? ・軒数/約80件、そのうち7割はソーラーシステムを取り入れた家 ・坪単価/30代の若い世代のシンプルな家=70〜80万円 40後半〜60代の造り込んだ家=85〜100万円 鉄骨造・RC造では+10万円、いずれもソーラーシステム込みの価格です。 ■設計監理料の目安は? 新築木造の場合/工事費(外構工事も含む)の10%。 新築鉄骨造・RC造は+2%、確認申請ほか官庁への手続きは条件で大きく異なるため別途としています。 拠点から100㎞を越える遠隔地は交通費を別途いただいています。 拠点は3カ所、東京を中心とした関東平野と福岡県を中心とした九州北部、そして札幌周辺です。リフォームの場合は15%です。 また、設計者紹介制度をご利用の場合には制度利用料が別途必要となります。 ■「自然に優しい家」とは? できる限り人工的なエネルギーを使わずに暮らせる家。それが自然と人間に優しい家です。 そのために自然エネルギーを効率よく取り入れる工夫をしています。 ・太陽エネルギーの利用(給湯、暖房、夜間冷気取り入れ、熱排気、OMソーラー) ・自然素材、自然塗料の活用 ・風を呼ぶ工夫(深い軒・庇、掃き出し窓・地窓・天窓、床下冷気取り入れ、煙突効果の利用) ・外断熱工法と通気工法の一体化+ソーラーシステム(この取り組みは次世代工法への挑戦です) ■積極的に使っている自然素材やエコシステム ・OMソーラーシステム/このシステムは取り組み初めてから24年が経ちます。初めての取り組みから較べると随分進化しています。初めての実験ハウス(私の両親の家です)では、1.5キロワットのファンが動いていました。今ではそれが100ワットで済んでいます。蓄熱の考え方もシンプルになっています。冬は家の換気をしながら暖房する。夏は廃熱しながら給湯する。夏の夜は冷気を取り入れ蓄冷する。このようなシステムです。 最近では、このOMソーラーとエアサイクルの一体化したシステムも取り組んでいます。 ・珪藻土塗り壁/土壁や漆喰壁はよく使ってきましたが、珪藻土と出会ってからはその不思議な能力に魅せられています。珪藻土といっても稚内産が一番性能がいい。珪藻土は粘土ではないので、固まらせるために使っている材料が問題となります。セメントや石灰、あるいは少量の樹脂をこれまで使ってきましたが、今一番良いと考えているのは粘土です。これによって自然土壁と言えるようになりました。一度塗っても何度でも使えるんですよ。 ・和紙/和紙の魅力は家づくりに欠くことのできないものです。障子や襖だけではなく、壁や天井にも貼っています。産地から直接購入しています。 < 前のページ次のページ >
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